刺身マグロ業界最大手の東洋冷蔵(株)で、マグロを担当する小竹浩史鮪鰹担当役員補佐と、入社3年目の吉田澪さん、井上萌さんの3人は、10月10日のまぐろの日を前に、千葉・浦安市の鮮魚泉銀の店主、森田釣竿氏との座談会を行いました。森田釣竿氏(㊧から2番目)、東洋冷蔵の小竹浩史鰹鮪担当役員補佐(その㊧)、吉田澪さん(㊨)、井上萌さん(その㊧) 前編では森田さんの”マグロ愛”や、鮮魚店、水産会社それぞれの視点から、業界発展への展望を聞きました。【前編から読む】 後半は、マグロの魅力を伝えるにはどうしたらいいのか、東洋冷蔵の若手社員お二人から質問タイム。魚への愛が溢れる森田さんの回答、必見です! 「森田さん、私たちにも教えてください」 吉田 私は生鮮マグロの仕入れを担当しているのですが、脂が落ちる夏の販売に苦戦しています。 森田 一般の消費者の中には、「サバは年中脂がある魚だ」と思い込んでいる人がいます。旬を外すとそれがない。でも、肉のうま味が強い時期だってある。同じように夏のマグロにある強みを、魚に代わって伝えてあげて欲しい。 ハワイに「ポキ丼」ってあるじゃないですか。南国で赤身が主役の料理です。回転寿司チェーン店でもポキを提供するようになったのは、いい流れ。夏でも絶対売れます。 吉田 なるほど。毎日売れるように伝え方、発信の仕方を勉強します。 井上 マグロを食べるのが好きで入社したので、ありのままを食べてもらいたい。なので、量販店にはサク売りを提案しています。でも、切り落としや寿司などの形態が求められます。消費者とのギャップをどうやったら埋められるのでしょうか。 森田 「あなたたち、人任せにしすぎでしょ」って言ってみる。「世界中のマグロが集まっているだけで奇跡。自分で釣って、運べないでしょ。なのに『サクを切れない』なんて恥ずかしい」って、明るく言っちゃう。 実際にそう言って、包丁を持ち始めた人もいます。核心を突かれたと思ったのでしょうか。こうした人を1人でも増やすことが重要だと思うし、さばけるほど魚のありがたみを感じるはずです。 小竹 1971年に創業した弊社の原点はマグロです。そこからマグロ愛は変わっていません。これまでもマグロに失礼がないよう、どう売るかを考えて来ました。若い人からも「なるほど」というアイデアを出してもらっています。いろんな売り方をしていきたいです。 森田 私は若いお客さんから、物事を変える力を感じています。マグロの表皮は茹でると食感がよくなるし、腹皮もいい出汁が出るので販売しています。加熱する料理でおいしくなる、筋のある尾肉も扱います。ただ、購入していただくのは若い人の方が多い。「知らない味に挑戦したい」と貪欲ですよ。 こうした情報をSNSで発信してくれて、それを見て気になった人がお店に来てくれる。まっさらな若い人が変えてくれました。だから吉田さんも井上さんも、小竹さんの背中を押してあげてね。 ―最後に読んでくださった一般の消費者の方々に、メッセージをお願いします。 吉田 1年中、強みがあるマグロを食べて、味わいを楽しんでください。 井上 魚種、水域、大きさなどで味が異なる魅力的な魚です。それを踏まえて食べてください。 小竹 10月10日は日本だけでなく、世界中の人がマグロを食べる日にしたい。その意気込みでがんばります。 森田 東洋冷蔵とがっちりタッグを組んで、業界を盛り上げていくぞー!魚食え!コノヤロー!!!9月28日には森田さんの地元・浦安駅前商店街のイベントで、フィッシュロックバンド・漁港のライブが行われ、代表曲「魚食えコノヤロ音頭」などが披露されました。 《同日の座談会は、東洋冷蔵の公式noteでも発信しています。》【前編こちら】