三重・鳥羽市の菅島に住む女の子、小寺まなみさん。 まなみさんは「わたしも あまさんになりたいの」と宣言する。まなみさんの目に、生き生きと海で仕事をする海女の祖母や母の姿がまぶしく輝いていたのだろう。 風が吹いた時の白波が「ちょっとこわい」。だけど、船に乗った時は、「ゆれるのも ちょっと たのしい」と、どんどん海への憧れを膨らませていく。海藻が茂る海を「お花畑のよう」と想像する。お母さんとの潜る練習で、まなみさんの顔はどんどん凛々しくなる。 海の中にいる海女さん(妖怪)からアワビをもらってしまえば、「もう お家には帰れない」。お母さんとおばあちゃんが、「よくばるとでてくるよ」と優しく教える。菅島の資源や海を守り、命をいただくことや自然との向き合い方を覚えていく―――*** この絵本は、水産庁の「海の宝!水産女子の元気プロジェクト」(通称・水産女子)の立ち上げメンバーの小寺めぐみさんと娘のまなみさんが、夫の雄一さん、息子の眞広君の協力を得て作り上げた作品です。絵はいがらしあやさん。文章と絵で紡ぐ物語は、穏やかな島の景色、季節ごとの色や鳥のさえずり、そして島の香りさえ感じさせてくれます。小竹篤鳥羽市長(後列左)に出版報告ならびに贈呈に行った小寺さん一家(写真提供・小寺雄一氏/協力・鳥羽市) 実は、人一倍元気に熱く海への思いを発信していためぐみさんは、2025年1月に病に倒れました。春には島に帰り、今は少し不自由な体と言葉を回復させようとリハビリに励む日々を送っています。絵本は病気になる前年に企画され、ともに壁新聞を作成していた(株)少年写真新聞社の吉岡佐和子さんらと仕上げました。めぐみさんとまなみさんが書いた絵本に対する思い 絵本には、めぐみさんとまなみさんが思う、海への思いがぎゅっと詰まっています。効率だけ求めない、「持続可能性」などの言葉がもてはやされる以前から脈々と受け継がれてきた、“畏れながら感謝する″日本の伝統的な海との向き合い方にあふれています。 漁業に関わる人たちには手に取ってほしい、近くの子供や孫たちにも読み聞かせてあげてほしい、作品です。そして、健康を取り戻しためぐみさんから、いつか直接、絵本にかけた思いを聞いてみたい、と思います。作品情報あま作:小寺めぐみ 小寺まなみ絵:いがらし あや出版社:少年写真新聞社税込価格:1,870円 書籍情報・購入はこちら