豊洲仲卸「芳野分店」でアナゴ一筋35年の高橋康友社長が2012年に立ち上げた外販営業部門が営むアナゴ料理専門店。築地場外市場の外縁部にあり、「ばかし」や「こぼれて升」など、高橋社長発案のユニークなメニューを出しています。いち押しメニューは、東西の競演ばかしあい 高橋さんの祖父の通夜の後に「ウナギが食べたい」とこぼした祖母のわがままに、取り置いていたウナギ蒲焼の名店「ての字」のタレを使って、アナゴを蒸して七輪で焼いて出した、関東風「うな重」に似せた煮アナゴの「あなごのばかし」。 関西からはるばる店に来て「関東の軟弱な食べ方だ」と煮アナゴに、いちゃもんを付けた客を唸らせた、骨切り白焼きアナゴに甘タレを塗って焼いた関西風の蒲焼アナゴ。この2種類を一つのお重に盛り付けた「ばかしあい」が今の「吉弥」の一番人気のメニューとなっています。 「脂の質や皮目の香りが独特」(高橋さん)と好んで使う宮城産は、特に「6月後半から9月頃の大サイズは脂の乗り切った〝最強のアナゴ〟」と豪語。その味は、ウナギをも凌駕するといいます。良アナゴのサイズ違い 東日本大震災直後に宮城産が風評で売れなかったのが出店のきっかけ。「科学的に問題ないのに『宮城産は勘弁してほしい』という声があって。それならば自分で売ろうと」(高橋社長)。憤りのまま、場外市場の中心に小さな出店をしました。 もともと人を喜ばせるのが何より好きだった高橋社長。湧き出るアイデアを形にしながらメニューを増やす中、仲卸業の得意先からの紹介で雑誌に出る機会を得、全国放送のテレビにも出て反響を呼びました。冬が寒い出店から、外気が遮れる現在の店舗に移り今に至っています。 不漁で活アナゴの出回りが大きく減った今、取引先が欲しがるサイズで生きのいい魚を出し続けるには、入荷がある時にまとめて仕入れて水槽の水温・塩分濃度を工夫してうまく生かし、ない日が続いても十分量を保持しておく必要があるそう。それでも人気サイズから少し外れた魚は出ます。それを消化し次につなげる調整弁としても店を使っているそうです。 ただ、サイズは人気と違えど「芳野分店」でアナゴ一筋35年の高橋さんの肥えた目にかなった活アナゴ。文句のないおいしさには立派な理由があります。耳寄り情報 二合升にあふれんばかりに海鮮具材を盛り付けた「こぼれて升」(3300円)は「升から食べ物が噴き出す夢をメニュー化した」(高橋社長)逸話があります。原価割れスレスレの高級食材を惜しみなく使うので値段以上の味が約束されています。店舗情報営業時間 ランチ 10:30~14:30(ラストオーダー14:00) ディナー(3日前まで要予約)17:00~20:30(ラストオーダー20:00)住 所 〒104-0045 東京都中央区築地6-21-5電 話 055-964-1400定 休 日 毎週第2・第4火曜日(祝祭日の場合は営業し、振替休日あり)H P https://kichiya-tsukiji.com/shop/地 図 Google Mapで地図を見る