徳島県阿南市那賀川町の国道55線沿いに店を構えるお店は、JF伊座利漁協の理事であり、同漁協の大敷網(大型定置網)代表の坂口進さんが腕を振るう、正真正銘の漁師の店。 定置網に入る日替わりの魚を格安で提供する穴場に、地元の魚好きが足繁く通います。朝獲れた定置網の魚が続々と 毎朝、定置網に入った魚を使うため鮮度は抜群。刺身、天ぷら、焼き魚、煮魚、漬け丼など、壁には大まかなメニューが書かれるが、決まった魚種ばかりでない。 だからこそ、「今日はどんな魚が食べられるのかな?」と考えるのも楽しみのひとつです。 人気の刺身定食は、取材日が皿を覆う6点盛りでした。人気メニューの「刺身定食」は800円 小鉢と味噌汁、香の物付き800円で、ご飯はおかわり自由。 ボリューム満点で有名な店にあって、際立つ盛りの天ぷら定食は、外側はカリっと中はふんわり柔らかい。煮付けは丸魚が基本で、部位ごとの味や食感の違いを食べ比べられます。豪快でボリューム満点の天ぷら定食 扱う魚は次から次へ、時間単位で変わるため、手書きのメニュー表が追いつきません。「あい(アイゴの成魚)」「ばりこ(アイゴの幼魚)」など、マイナー魚+地方名の混在で、何を注文してよいか分からないかもしれまでん。でも、地域の食文化を知るチャンスです。「あい」の干物など、ほかの地域では見られない魚が味わえる 「どんな魚ですか?」と聞いてみましょう。私は「標準和名は・・・何だ?」と言われましたが、それも楽しい思い出でした。魚種や部位の食べ比べも楽しい煮魚移住漁業者の受け皿に お店は伊座利漁協のアンテナショップの役割も果たしています。 徳島県南部、太平洋に面する美波町東端の伊座利集落は、人口100人程度の小さな漁村です。伊座利漁協の草野裕作組合長は「日本一小さな漁協」とおどけますが、県外からの漁村留学や短期漁村体験も積極的に行っていて、それを機に移住、漁協の大敷網に就職した人もいます。 ただ、主力の定置網漁業は、6月下旬~10月下旬に網を上げます。 代わってアワビなどの素潜りに専念するのですが、この漁は個人の腕が問われるため、勝手の分からない新人は収入が激減し、離職の原因になりかねません。 食堂「弘伸丸」ではこうした若者も雇用しており、仕事を覚えるまでの収入安定に貢献、「安心して働きに来て」と、移住者の受け皿にもなっています。 お店は伊座利から徳島市方面へ、車で1時間近くも走る距離にあり、往来の激しい国道沿いを選びました。 坂口さんは「不安定な漁業に将来はあるのか」との思いで、15年ほど前に店を開いたそうです。漁を終えると魚を選び、店では板長として働く忙しい日々です。 なお、店では定置網で獲れる魚だけを提供しているため、網上げ期間中の営業は休みになります。新規就業家族の受入など、先駆的な取り組みも行う坂口店長店舗情報営業時間 午前11時半~午後2時半 午後5時~9時住 所 〒779-1112徳島県阿南市那賀川町色ケ島民養40-1 徳島市方面へ100Mの所に大きな駐車場があります。電 話 0884-42-3044定休日 月曜日と年末年始および網を上げている 6月下旬~10月下旬地 図 Google Mapで地図を見る