新鮮な刺身に郷土色豊かな副菜も充実の刺身定食
ここがおすすめ!
JF窪津漁協の直営食堂「海鮮館」は、足摺岬の北東部、高知・土佐清水市窪津にあります。人口約470人の小さな集落ですが、全世帯の約9割が漁業に携わる漁村です。JF窪津漁協の滝沢理さんに案内してもらった漁協直営食堂は、眼下の定置網で獲れた、朝どれの地魚が売りです。
操業中の定置網漁船が肉眼で見える距離にあります
漁場直結で本領発揮
朝早くに海を見下ろせば、漁場直結の意味が分かります。肉眼で確認できる距離で、定置網漁船が操業している光景が見えるのです。帰港後すぐ、市場で選別された直後の魚が届くので、鮮度のよさはこの上なし。鮮度のよい刺身定食がいちばん人気です。
取材時はマアジの刺身に、ヒラソウダ(当地でスマガツオ)、メジナ(グレ)のタタキの3点盛りでした。足が速く市場流通が限られるヒラソウダは、もっちりした食感とすっきりした味わいに、地元で「カツオよりおいしい」という人も多く、産地ならではの味です。メジナは皮つきであぶっているため、香ばしく皮下の脂も楽しめました。
料理は地元漁業者の奥さんが務めます。海鮮館は水揚げに左右されず、漁業者がいつまでも現役で働ける漁業経営を目指し設立されました。「漁業者」とは海に出る人に限らず、その家族、漁村住民すべてを指していると言います。
定置網で揚がった魚は市場で手際よく選別される
副菜も魚が際立つ
定食には煮魚、揚げ物(天ぷらとじゃこ天)、ツミレ汁、酢の物、香の物にご飯がつきます。じゃこ天とツミレ汁に使われるスリ身も、地魚を使った自家製です。漁場直結だからこそ、スリ身に使う魚も新鮮で多種多様で、季節や漁模様で原料が変わる。シイラやトビウオ、ブリ、スルメイカなど、複数の魚種を混ぜ合わせるため味に深みがあり、飽きが来ない。
揚げたての天ぷらやじゃこ天は熱々。煮魚や酢の物も、魚を知り尽くした漁村家庭の郷土料理で、一つひとつが味わい深いです。
メニューはほかに、ミックスフライ定食や漬け丼、イセエビをまるごと1尾、刺身や天ぷら、フライで食べ尽くす「イセエビ定食」などもあります。
新鮮な魚や加工品が並ぶ大漁屋
お土産も魚で!
「新鮮館」の向かいには、直販所「大漁屋」も構える。こちらも漁協が経営していて、定置網で獲れたばかりの鮮魚ほか、干物や地元野菜に郷土寿司などが並びます。冬は温かい汁物も販売されました。
地元はもちろん県外の常連客も多く、「手ぶらで帰る人は少ない」とか。週末は昼を過ぎる頃に寿司類は売り切れ、魚も少なくなるので「お早めに」とのこと。海鮮館で味わったスリ身も、こちらで販売しています。
干物シリーズに新作登場
いちおしの酒粕干物
大漁屋で人気の干物シリーズに、「酒粕干物」が加わりました。高知県を代表する蔵元「司牡丹酒造」の酒粕に漬けることで、魚のうま味を増やし、塩分を従来品の3分の1に抑えています。乾燥させてさらに味を凝縮。いろいろな魚で商品化されており、「ぜひ食べ比べてほしい」とのことです。