アラスカ産「すじこ」のココがすごい!|KIRIMIちゃん.おさかナビ

な~るほど!お魚のあれこれ

アラスカ産「すじこ」のココがすごい!

2024.06.25

みなさん。サケ・マスの卵である「すじこ」や「いくら」ってお好きですか?

最近、コンビニのおにぎりだけでなく、グルメ系おにぎりの専門店も増え、海外からのお客さんも「おいしい!」と大評判の日本のおにぎりですが、中でも人気なのがサケや「いくら」「すじこ」を使ったおにぎりです。今回は、まさにシーズン入りしたばかりの天然アラスカの「すじこ」にスポットを当ててみました。

アラスカシーフードマーケティング協会で活躍中のキャラクター「すじこさん」「いくらさん」にも手伝ってもらうよ。

新物のアラスカ産塩すじこ

わたしたち「すじこ」って、そもそも何?
「すじこ」は、産卵のために海に回帰したサケ・マスの卵巣を取り出し、専門の職人さんが飽和塩水で塩漬けにし、箱詰めしたあと、冷蔵庫で熟成した食物だよ。

今のように各家庭に冷蔵庫が普及していなかった昔は保存食だったみたいだね。白米に合う日本独特の食べ物だね。ちなみにみんなが良く知っている「いくら」とは加工方法がちょっと違うよ。
「いくら」の場合、卵巣膜から卵を取り出してバラバラにする作業をしてから、塩漬け加工をして塩いくらにしたり、調味液に漬け込んで醤油いくらにしたりするんだよ。

「すじこ」には塩すじこと醤油すじこがあるけど、どう違うの?
サケの卵巣を卵巣膜につつまれた状態のまま塩蔵したものが「塩すじこ」で、醤油ベースの調味液で漬けこんだものが「醤油すじこ」で、最近食べやすさもあるから「醤油すじこ」が多く出回るようになっているね。

もっと詳しくいうと、「塩すじこ」(今回は塩すじこの主流であるベニザケの卵を指してるよ)は世界最大の産地でありベニザケの本場であるアラスカで、獲れたての鮮度の良い原卵(卵巣)を現地で飽和塩水のみを利用して素早く加工処理して箱詰めするんだけど、実はここに一番日本人の技術が詰まっているの。

アラスカで塩すじこに関わる現地のテクニシャン

シーズンに入ると日本人の技術者、職人さんたちが現地入りして、現地の人にも技術指導しながら、加工に携わっているの。日本人が好む、ご飯に合う味のおいしい塩すじこづくりは、長年の技術者たちが長い時間をかけて築き上げてきた作ってきた苦労と努力のたまものなんだね。
一方、「醤油すじこ」の方は、冷凍原卵を冷凍コンテナ(船便)でアラスカから日本まで持ってきて、「塩すじこ」と同じように日本の加工業者が独自の味付け加工して販売しているの。元々「塩すじこ」はサケマス漁が盛んだった北海道から東北地方を中心に親しまれてきたのだけど、凝縮された力強い旨みの「塩すじこ」に対して、まろやかな甘口の「醤油すじこ」が近年では関西以西でも受け入れられるようになってきたんだよ。
どうして「すじこ」は東北地域の消費が多いと言われているの?
サケマス漁が行われてきた地域であったため、身も卵も長期間保存に耐える加工をしておいしく食べる文化があったこと。
また米どころでとくに熱烈なファンが多いのは、炊いたご飯とすじこが出会った時に醸し出される強力な美味しさはもちろんのこと、米作りの農作業の合間の栄養補給、塩分補給にすじこのおにぎりが好まれたことなどが背景と言われているよ。
関東以北北海道までが販売されている地域かな。アラスカからの積み出しが本格化してくるのは例年、夏場の旧盆辺りがピークで、この時期になると青森や仙台などでは帰省人口も増えてくるので、食品スーパーやコンビニエンスストアではすじこのおにぎりが山のように積まれ、賑わいをみせているみたいだね。
アラスカ産のすじこが良いと言われる理由は何なの?
サケにはいろいろな種類があるけど、なかでもベニザケの卵特有の強い旨みが好まれているよね。炊き立て熱々のごはんとすじこが出会った瞬間に生まれる強力な美味しさは、言葉にならないほど。すじこには最近注目を浴びているオメガ3脂肪酸や抗酸化物質として有名なアスタキサンチンなど魅力的な成分がたくさん含まれている。だけどなんでもそうだけど、食べ過ぎには注意ね(笑)
もう一つ付け加えると、そんなすばらしいすじこを産み出すアラスカでは、ベニザケはとても厳しい資源管理が行われているのよ。獲り過ぎない、生態系を傷つけない、環境にやさしい漁業で獲ったアラスカのベニサケのすじこは持続可能な、サステイナブルシーフードなの。
へえー、アラスカに興味がわいてきた!
アラスカにはカッパーリバーというとても急流な川があり、全米10位の流出量を誇る河口を持つ大河なんだよ。このカッパーリバーはベニザケなど天然のサケマス類が回帰、遡上する川として有名だよ。

川をのぼってくるベニザケはそのうち婚姻色で赤くなる

上流の湖で生まれ、このカッパーリバーを下って海を回遊し成長して帰ってくるサーモンは険しい急流の遡上に備えて脂肪分をたっぷり蓄えているので、みんなテレビか何かで熊が一生懸命遡上しようとする真っ赤なベニザケを飛んだり跳ねたりしながらハンティングしている場面って見たことない?熊にとっても美味しいごちそうのシーズンなんだね、きっと。。

遡上してくるベニザケを熊がハンティング

カッパーリバーでシーズンの最初に漁獲されたベニザケの身は、アメリカ国内の新物として扱われているのだけど、その塩すじこを空輸で輸入したすじこも日本で新物として扱われているんだよ。
アラスカにはカッパーリバー以外にもたくさん天然サーモンが帰ってくる河川があって、盛んにサケマス漁がおこなわれているんだけど、天然のサケマス資源が枯渇しないように厳しい漁業管理が行われていることがアラスカのすごいところね。
ちなみに記者さんはどんなすじこが好き?
わたしは、カッパーリバーの新物塩すじこは必ず毎年、食べているよ。空輸で運ばれてくるアラスカ産の新物すじこは本当おいしい魚介類をたくさん知っている水産市場の関係者が自家消費のために「絶対に食べたい!」とちまなこになって買うことが多いの。それだけで特別なものってことだけど、カッパーリバーのベニザケのすじこは、空輸の新物に続いて、現地でしっかり急速凍結された塩すじこもたくさん船便で輸入されてくるから、心配しなくても大丈夫だよ。さらにはサケが北上し、世界最大のベニザケの産地ブリストル湾でも塩すじこや醤油すじこの原料となる冷凍卵の製造もされているんだよ。
福岡出身の友達が「食べ方がわからん!」って言っているのだけど、どうやって食べると良いの?

おにぎり専門店「ぼんご」で人気Nо.2の「すじこ」

店内では手際よくすじこがおにぎりの具材へ

「何ば言いよっと?心配せんでよか」って。必要なのは、温かいご飯、それだけ。指先ぐらいの大きさにしたすじこをご飯のにせて食べるだけ。でも美味しい海苔もあると完璧かな。
水産業界のツウの間でもすじこと海苔との相性の良さは鉄板だといわれているよ。おにぎり業界でもすじこが上位に必ずあるのもよくわかるね。
私もつい先日、都内の超有名おにぎり専門店でアラスカ産塩すじこを使ったおにぎりを取材した後、食べる機会があったのだけど、おいしさのあまり涙?が出てきてしまった。長蛇の列を覚悟で今度は取材抜きでもまた行きたいわ。あ、すじこの話していたらたまらなくなってきた。今から行ってきまーす。
あ、行っちゃった。
でも今日は本当にアラスカとすじこの深い関係についてたくさん勉強したね。みんなもチャンスがあればぜひ食べてみて。スーパーで塩すじこと醤油すじこがあるかどうかまず探してみて、どっちが好きか確かめてみても良いかも。
ちなみにコンビニでもすじこのおにぎりは買えるよ。アラスカシーフードのロゴが表示されているすじこもあるから、探してみよう。その時はアラスカの雄大な自然に思いを馳せながら味わってみてね~。